Act.7 クラピカ

クラピカは洗面室へ行き、涙の跡を水で洗い、拭いた。
そしてそのまま、そこにうずくまった。

頬から流れる赤い血が、床に小さな紅い水たまりを作っていた。

拭ったはずの瞳から、涙が一雫、伝い落ちた。


―――――仲間・・・ナカマ・・・・・
         さよなら、ゴン、キルア・・・・・・・・・・・レオリオ・・・・・・・・・


ドアをノックする音で、クラピカは我に返った。
流れ出る血を拭い、扉を開けた。
「センリツ・・・。」
センリツはクラピカの顔を見て、驚きを隠せないでいるようだった。
「どうしたの?その頬!!?」
「あっ・・・?あぁ・・・ちょっとな・・・。」
嘘をついても、真実を言わないでもセンリツにはだいたいのことはばれてしまうだろう。
それでも彼は、敢えて言わなかった。

センリツは救急箱を取り、クラピカの頬の治療を始めた。


そして一通り治療が終わると、センリツはクラピカに聞いた。
「何があったの?」
しかし、クラピカは言わなかった。否、言えなかったのかもしれない。
センリツは続けた。
「今の貴方の心音、悲しいものだわ。」
その時だった。クラピカの携帯が鳴った。


戻る