Act.9 クラピカ
「携帯、鳴ってるわ。」
センリツが言った。しかし、クラピカは敢えて電話に出なかった。
「出てみて。きっとそれが、貴方の答えに繋がるわ。」
センリツは優しく言った。
その笑顔に根負けし、クラピカは携帯を手に取った。
「はい。」
「クラピカ!?」
「レ・・・・・オ・・リオ・・。」
クラピカは驚いた。電話の主は、キルアかゴンのどちらかとばかり思っていたのだ。
「クラピカ、一人で突っ走るのはもうよせよ。オレ達、ホントにお前のこと思ってるんだぜ。」
後ろで、ゴンとキルアの声が小さく聞こえる。
「断る。お前達と私は、もう何の関係もない。」
電源を切った。
そして、センリツの方を向いた。
「私は、もうあいつらとは縁を切った。何のつながりもない。」
しかし、センリツは未だ口元をほころばせていた。
「そうかしら?電話に出たときの貴方の心音、変わったわよ。暗く沈んでいたのが、少し高鳴った。言ったでしょ う?心音は正直なの。」
クラピカは何も言えなかった。
そのことは確かに、自覚してしまったから。
「自分の気持ちに素直になってみて。きっとラクになるわ。」
それだけを言い残し、センリツは部屋を出ていった。
一人になりたい。
一人になりたくない。
そんな思いが、クラピカの中で交差する。
彼はしばらく考えていた。
仲間について・・・。
そして、席を立った。